7月1日、新宿BLAZEにて行ったν[NEU] 14th Anniversary 無料ワンマン ~ファン感謝祭~にて、新たな発表があった。
「ν[NEU] BEST」と題した全4公演に渡るツアー、ν[NEU]とmitsuの2マンライブ「With」、そして大阪にて「ファン感謝祭」を行うという。これらを発表した7月1日を“スタート”と称し、攻めの姿勢で活動していくという意気込みをメンバーの口から語ってもらった。
「多くの人に今のν[NEU]を見てもらいたい」という想いの裏には大きな自信が芽生え、今が最高潮であることを証明するべく、自ら定めた“ゴール”に向かってまだまだ可能性を広げていくことになりそうだ。
インタビュアー 平井綾子
――今日は、恐らく7月1日の「ファン感謝祭」以降のお話を伺えるのかな?と思って来ました。(※取材は6月下旬)
ヒィロ そうです! まず、10月から12月にかけて「ν[NEU] BEST」というツアーを回ります。11月11日にはν[NEU]とmitsuくんのソロとの2マンライブ「With」、そして12月2日には大阪で「ファン感謝祭」をやる事を決めました。
――お~、すごいボリュームですね! 同時に、新しい写真も発表されると。
mitsu もう、“今のν[NEU] ”を表すのに一番わかりやすいですね。バンドって人それぞれ解釈があると思うんですけど、俺としては同じ旗の下に集まるっていう事だけじゃなくて、バンドが生きているかどうかっていう事が重要で。バンドを良くするために前へ進んでいて、希望のようなプラスなものを持っているっていうのが、俺にとってバンドが生きているっていう事なんですよ。そういう意味では、ν[NEU]の活動が再開した頃の写真と最新の写真とでは、見てわかる通り全然違う。みんな、今の方がカッコイイですよね。この3年間があったおかげで、全員が「ν[NEU]をやる」っていう意識が強くなってるし、過去を超えて行こうっていうのが感じられるというか。そういう事をずっと音楽活動を続けてきた俺がν[NEU]に対しても思えるっていう事は、確実に前に進めてるって言えるんじゃないかと思うんです。
――3年前に復活を発表したタイミングで撮影した、あの時は5人でしたけれど、楽し気な雰囲気とは違う攻めの姿勢が表れていますよね。
mitsu そう、自信があるというか。笑っちゃうくらいみんな違うんですよ(笑)。
ヒィロ 3年前の復活当初は「ν[NEU]を再現しなきゃ」っていうのもあったんですよね。でも今は、良い意味でν[NEU]を再現するのをやめたっていう、そこが変わったと思います。
mitsu もちろん過去を置き去りにするつもりはないんですけど、現役で活動していた時を“一期”とするならば、一期のν[NEU]には戻れないんですよね。それは、華遊くんがいない事も含めて。それだけじゃなくて、年齢も、気持ちも、環境も、状況も変わってきているし。何よりも、今をピークにしようっていう気持ちがすごく強いんですよ。ま、そうじゃなきゃこんなスケジュール組まないからね(笑)。
――そういう姿勢で、“ゴール”と定めた解散から10年という2024年12月29日まで進んでいく意志表示にも思えますね。
ヒィロ やっぱりν[NEU]の元々のテーマは“希望”だったので、去年半年間の活動を終えた後にもう一度“希望”を作りたいと思ったし、僕たちが希望になりたいと思ったんですよね。そこで、僕らが今“ゴール”と定めている来年末のライブで動員2000人を超えたくて。渋谷公会堂で解散した時の動員を超える事を目標とすることに決めました。
mitsu それが、ν[NEU]のピークを“あの時”じゃなくて“今”にしようっていう事なんですよ。リーダー(ヒィロ)がスケジュールを率先して決めてくれてるんですけど、そこにちゃんとメンバー全員がついていけてるんです。それぞれの経験が集まって、メンバーの人数分だけ能力が合わさった時にミラクルが起きる、これがバンドですよね。昔はどっちかというと、ν[NEU]っていう船に5人が乗っていたっていう感覚に近かったんですけど、今はメンバーがν[NEU]を作ってる感じがするし、「すごくバンドしてるな」っていう感覚が強いんです。
ヒィロ それこそ3年前に復活した時とか去年の時点だったら、多分このスケジュールはメンバーに、特にЯeIさんには振れなかったですね。でも、今のЯeIさんなら出来ると思って、自信を持って振ったっていうのもあります。
――確かに、活動再開当初はЯeIさんやタクミさんは自分の仕事とのパワーバランスの折り合いが難しかったという話もありました。
タクミ でも、今は結構前向きです。それに、「あとどれだけ(スケジュールが)増えていくのかな?」って楽しみはある。
――不安どころか、楽しみになっているとは!
タクミ そう、「どこまで攻めてくれるんだろう?」って。日を追うごとにどんどん増えていってるんで(笑)。でも、それが今は刺激になっていて良いんですよね。誰か悲鳴を上げるかなと思ったら誰も上げないんで、ちょっと悔しいところではあるんですけど。
――「俺は大丈夫だけど、みんなは?」みたいな(笑)。
タクミ そうそう(笑)。メンバーの悲鳴を聞きたいくらいには、自分は楽しみです。
mitsu ЯeIさんも今、ドラムめちゃくちゃ上手くなってるんですよ!しかも、俺らよりも客観的に見られる夢時さん(サポートGt)が「ЯeIくん、ドラム上手くなったね」って言ってるくらいだから間違いないし、今なおメンバーのスキルが上がってるって、面白い話だなと(笑)。
ЯeI やっぱり、今の俺が一番ドラム上手いんですよ(笑)。今になって、スティックの重さを片方ずつ変えたり、叩き方も変えたりしてるんです。
――すごい! そうなれたのは、やっぱりモチベーションが上がっているからですか?
ЯeI きっと、ドラムに関して余裕を持ててるんだと思います。だから、スケジュールも「ま、なんとかなるかな」っていう気持ちになってきました。
ヒィロ おぉ!?
mitsu そういえば、スタジオで久々にやった曲があって、ちょっとアレンジされてたんですよね。で、俺が「さっきのところ、めっちゃかっこよくない!?」って言ったら、ЯeIさんが「個人練でアレンジしてきた」って。そんな事、現役の時にあったっけな!?みたいな(笑)。
ヒィロ ない……ないよ!
ЯeI (笑)。正直、今まで個人練があんまり出来ていなかったんですよ。時間がなかったのもあるし、機材が多くて一人で持ち運び出来るものじゃなかったから。
――それほど、解散までのν[NEU]の活動は目まぐるしかったですからね。個人のスキルを見直す時間をとる事もなかなか難しかったかもしれない。
ЯeI でも今は、本番通りに個人練出来るんですよ。それがすごく有難くて、これなら絶対に過去を超えられるなと思いますね。そういう状況になったから、バンドのスケジュールが増えても大丈夫。
mitsu このままだと、ヒィロさんがモンスターになっちゃうかもしれないですね。
ヒィロ よし、ライブ7daysでもやりますか!
一同 (笑)
mitsu 4人とも負けず嫌いなんで(笑)。
――あははは。今しがたスタジオで曲のアレンジの話もありましたけれど、バンドが良い状態の中でν[NEU]の楽曲がパワーアップしていくのも、今後の楽しみの一つかなと。
ヒィロ まさにそれが、「ν[NEU] BEST」っていうツアーになるんですよ。4公演あるので、インディーズからラストシングル「ひとりじゃない」までを4ブロックに分けて、ν[NEU]の歴史を一度全部おさらい出来るような事をやりたいなと思ったんです。去年半年間の活動の中でν[NEU]の曲を久しぶりに演奏した時に、やっぱり曲もmitsuくんの歌も進化しているし、ここをもう少しちゃんとやりたいなと思ったんですよね。僕自身もν[NEU]のファンなので、ファンの目線を交えて考えた時に今のЯeIさんが叩くドラムとタクミが弾くギターと、あとmitsuくんの歌で演奏したらどうなるか聴きたいので。
――なるほど! まさに“ベスト”ですね。
ヒィロ 過去の自分たちって、結構セトリが似てたというか得意な曲しかやらなくて避けてた曲も正直あったんですよ。
mitsu それは曲が悪いっていう意味じゃなくて、曲に俺らが追いついていなかったっていう意味で。だから今演奏してみたら「めちゃくちゃカッコいいじゃん」っていう発見が自分たちでもあったんです。
ヒィロ そう。だから、今だったらやりたいっていう単純な理由ですね。
mitsu 自分たちの「やりたい」っていう気持ちが強い。今日もさっきまでリハだったんですけど、本当に自分の口からポロっと言ったのが……「俺、今みたいにあの時も歌えてたら、もっと売れてたな」って。あの時はあの時なりに全力で歌っていたし、旬ってあるけど、やっぱりそういう部分でもν[NEU]のピークを今に更新したいと思ってるんです。若い時は勢いとか青さみたいなものが良かったけど、それが終わったらピークは過ぎるのか?っていう、これは人生の課題でもあると思うんですよね。全ての人に対して、いつだって遅くない……遅くないというか、チャレンジした上で超えられるものがあるっていう事をちゃんと“希望”として見せたいんですよ。そのためには、やっぱり自分たちが必死にならないといけないと思っていて。
――ただ回顧心から過去の曲をやろうというのではないところがν[NEU]らしいですよね。ちなみに、ライブでやっていない曲ってあるんですか?
ヒィロ 1回もやってない曲はないですね。ただ、やってる回数が少ない曲は半分以上。
――おお、結構あるんですね。
ヒィロ 正直、ν[NEU]のライブパターンって決まっていたと思うんです。どちらかと言えば、盛り上げるためというか……。
――ν[NEU]に対するパブリックイメージはそうでしたよね。でも、それが強みでもあった。
mitsu うん、俺もそれに関しては悪いとは思ってないんです。チケット代を払ってライブに来てくれた人に一番良いものを見せたいっていう気持ちの表れだったので。ただ、それ以外の理由で言うと、やっぱりさっきも言ったように自分たちがライブで楽曲を演奏するのに追いついていないとか、ハマらないみたいな部分があったのも確かなんですよ。
ヒィロ 僕らの自信が弱かったっていうのも原因で、例えば対バンイベントでも冒険するかって言ったらいつもの定番曲で勝負してたところもあって、ある意味パターン化してたと思うんです。それに、常に音源リリースをしていたから曲が流れていっちゃうっていうのもあって。
mitsu 正直言うと、解散した理由の1つはそこだったんですね。俺、覚えてるんですけど……ヒィロさんがメインで曲を作って俺が歌詞を書いて、メジャーデビュー以降は特にスケジュール的にリリースする事が優先されるから、作らなきゃいけない。クリエイトする気持ちがっていうよりは曲が死んでいく感じがしたんです。
――それこそ、「作りたい」じゃなく。
mitsu そう。それが増えていった時に、「こうやって曲を作っていくのって、楽しい?」っていう話をヒィロさんとした事があったんです。それが解散に近づいていた状況だったと、俺は思っていて。
ヒィロ そうだね。追い込まれて曲を作る事が辛くなってたところもあったし、なによりライブで曲をじっくり成長させるわけでもなく、風化させてしまう事に寂しさがあったというか。
mitsu でも、リスナーからは「その曲、大好きです」って言われた時に、「俺らはどう受け取ったらいいんだろう?」みたいな気持ちもあった。
ヒィロ だからこそ、もう1回僕たち自身がν[NEU]の曲を大事にして伝えたいなって思ったのもありますね。今だったら、攻められると思いますし。
mitsu 同じ曲を何回やっても同じに聴こえるバンドもいれば、そうじゃないバンドもいると思うんですけど、今のν[NEU]は確実に後者だと思うんですよね。たくさん演奏してきた定番曲も、「こっちの方が良くない?」ってテンポを変えたりアレンジをしたり、今になって曲を進化させるためにやれる事があるっていうのは、やっぱりバンドが生きてる証拠だと思うんです。
――そうですね。先ほどЯeIさんも仰っていたように、それをメンバー自発的に行えているというのもすごく大きい。
ЯeI 昔の自分をコピーしたくないんですよね。だから、結構今の自分のアレンジになってしまうと思うんですけど、そこは楽しみにしていてもらっていいかな。もう、昔の曲を今聴くと新曲みたいな感じに聴こえるんですよ(笑)。だから自分も、楽しんでアレンジしちゃとうかなーって。
――やっぱりそのアレンジには、ЯeIさんの好みとかが作用するんですか?
ЯeI 昔はとにかく詰め込み過ぎてたんですよ。それがカッコイイと思ってたんですけど、最近はどんどんマイナスしていった方が今の自分にしっくりくる感じ。
mitsu 渋くなったよね(笑)。
ЯeI そう。だから、みんなで合わせた時にどんな感じになるのか楽しみなんですよね。
――タクミさんも、楽曲面でメンバーに悔しい思いをさせられるくらいのアプローチが出来そうだったり……?
タクミ ギターに関しては「やってやるぞ!」っていうよりも、もう一人のギターが夢時さんになった事が自分としては大きな変化なんですよね。やっぱり自分との化学反応があって、それこそ今までの曲が全部新曲になっちゃうくらいの勢いなんですよ。そこが自分としては楽しみだし、きっとライブに来た人もジーンと来るんじゃないかな。
――タクミさんって、元々ライブのステージにおいてもギタリストとしての本質を強く持っていたプレイヤーだと思っていて。
ヒィロ ああ、昔は対バンイベントの時も他の人と話さずに階段でずっとギター弾いてた(笑)。
――そう、すごくギターを弾く事が好きなイメージがあるんです。だから、そういう部分が今惜しみなく発揮出来る環境があるんじゃないかと思っていて。
タクミ 実は、昔はどっちかというとそうだったんですよ。でも、今は逆にそうじゃないというか……やっぱり本物の方が下手にいるから。
mitsu 師匠だもんね。
タクミ そう。だからもうちょっとライトに、楽しんで演奏するっていう立ち位置に辿り着いた感じがあります。
ヒィロ 前のタクミは「弾かなきゃいけない」みたいな、ν[NEU]の上手でギターのボトムを支えないといけないっていうところがあったと思うけど、確かにここ最近はラフな感じがしますね。
mitsu それによってフレーズに変化があるっていうよりは、タクミ自身のギターの立ち位置が違ってきてるんじゃないかな。
タクミ うん。夢時さんのギターが入る事によって、安心感とか余裕が生まれて、自分も新しい事を弾けたりするんですよね。
ヒィロ それこそタクミのフレーズに合わせて夢時さんがハモったり掛け合ってくれて、遊んでいる感じはしますね。
――ヒィロさんも、今のν[NEU]で演奏するのに変わってきた感覚などありますか?
ヒィロ 僕はもう、本当に初めてバンドを組んだ時みたいな感覚ですね。前は演奏中にドラムしか聞かないっていう感じだったんです。やっぱり同期がバーンって前に出ていたから、メンバーの音よりもそっちメインで合わせていたというか。
mitsu “同期は6人目のメンバー”っていう風にも言ってたしね。
ヒィロ そう。でも最近は、全体の音を聞きながら演奏していて、その上にmitsuくんのボーカルが乗ってるっていう感じで、そこは楽しいですね。今までのν[NEU]はどちらかと言うとデジタルサウンドの方にメンバーが合わせる感じで、緩急を付けなかったんですよね。それが僕たちの武器でもあったんですけど、最近はよりバンドっぽくなって全員が緩急をつけるところにmitsuくんの歌が乗ってダイナミックな感じなったなと思っていて。
mitsu 俺は逆に面白いですね。ソロでν[NEU]とは違うものをやるって決めて、数年前からは同期をほとんど使わない生バンドだけで音楽をやってきたんですけど、ν[NEU]から幅を広げて続けてきた事が今ではν[NEU]でも活かせるので。さっきリーダーがダイナミックっていう言葉を使っていたけど、今では曲によってν[NEU]の緩急があるところとないところどっちも出せるようになったと思うんです。例えば、「PULSE」みたいなインディーズ初期のバチバチなデジタルサウンドの曲と、ラストシングルの「ひとりじゃない」って違うと思う。でも、今だったらそれぞれの曲の良さを生かした聴かせ方が出来ると思うんですよね。だから自分は、ソロの活動を続けてきて良かったなって。
ヒィロ mitsuくんが生バンドでやって来たものが上手く融合して、今のν[NEU]のエッセンスになってるよね。やっぱり、今は歌に合わせたテンポで演奏出来ているっていうのも大きいと思います。
mitsu 今は、全員のグルーヴが合ってると思うんですよね。技術は大事だけど、ぶっちゃけ上手けりゃ良いっていうものでもなくて、それよりもこのメンバーのグルーヴがどれだけあってるかっていうのがすごく大事だと思うんです。それが今のν[NEU]は、正確さよりもこのメンバーで音楽やってるっていう事に価値があると思っていて。
――ν[NEU]には、初期から築いたデジタルロックの基盤があって、そこに断片的に「こういう曲も出来ますよ」っていうものがたくさんあったと思うんです。でも、復活後に新旧織り交ぜて聴いた時に不思議とそれがν[NEU]という同列の中に共存していると思ったんですよね。それは、今皆さんがお話してくれた事の全てだと思います。
mitsu 嬉しいです。活動時期でアプローチも変えていたし、ν[NEU]ってずっと動き続けてたバンドだったから、それがやっと今1つになって来てるのかなって考えるとやりがいを感じますね。
――すごく、完成に向かっている気がします。
mitsu それ、すごくしっくりきます。
ヒィロ さっき、mitsuくんが「今みたいにあの時も歌えてたら、もっと売れてたな」っていう話をしていたけど、俺はそれを聞いてて不思議な感覚になったんですよね。ν[NEU]は一度解散したけど、ある意味してなかったのかなって。解散後の期間も含めて全部ν[NEU]の活動に繋がっていると思うんですよね。mitsuくんがソロ活動で得た歌が融合した時の今のν[NEU]としての曲をもっと聴きたくなったし、演奏したくなったし、聴いて欲しい。
――もちろん、mitsuさんだけじゃなくてヒィロさんやЯeIさん、タクミさんもちゃんとポリシーを持って生きてきた時期を経ての今のν[NEU]の活動があるわけですから。
ヒィロ だからもう、今の僕たちにはν[NEU]を再現って出来ないんですよね。僕らには、復活=過去の再現は出来ない。こう言ってしまうと、もしかしたらお客さんの期待を裏切ってしまうかもしれないけど、それ以上のものを伝えられる自信が今は全員にあるんですよ。
mitsu そう、再現は絶対出来ないんです。現時点で“5人”ではないという事も踏まえて。それでも過去を超える事が、僕らのやるべき事だと思うので。みんなが自分で責任を持って生きてきた先でν[NEU]として集まれたわけで、今そんな4人が集まれている中で最善を尽くしていけば未来はあると思うし、逆に想像し得なかった未来と出会える可能性を今、感じているんです。その結果、自分たちで掲げた目標を達成した時にはまた違った何かが見えているかもしれないし、それはまだわからないですけど、何かあったらそれはそれで良い事じゃないですか。
――そうですよね。その中で、今のν[NEU]が新たに生み出すもの……具体的に言えば、新曲を聴いてみたいなという期待があるのも正直なところなのですが、今日お話を聞いている限り、今は過去を超えるっていう事が一番重要なタームにいるのかなと思いました。
ヒィロ それこそ、今回の「ν[NEU] BEST」ツアーを回った後に僕らの中でまた考え方が変わるというか、新しい感情が生まれると思うんですよ。その時に新曲を作りたいと思えば作るかもしれないし、それとは違うアイディアが他に出てくるかもしれない。その決断をするにも、まずはこのツアーを回った後かなと思っていて。
mitsu 正直、「新曲を出せば喜ぶだろう」みたいな安易な考えでは作りたくないんですよね。まさにリーダーが言ったようにツアーを回って得るものがあって、その時一番新しい俺らが作らなきゃいけないものだと思うんです。だから、年齢や経験も重ねた今のみんなで「作りたい」と思えたら、それが最高かなと。
――その気持ちを大事にしたいですね。まずは、新しく発表された12月までのスケジュールに注目しつつ。11月のν[NEU]とmitsuさんのソロとのツーマンも楽しみです。
mitsu これに関しては今までν[NEU]の良い話をしてきたんですけど、「最前線を走ってきたヤツと一緒にすんじゃねえぞ!」っていう気持ちはもちろん持ってます(笑)。ただ、今回は「With」というタイトルなんですけど、3年間に2マンをやった時は“VS”だったし「果たし合い」というタイトルだったんですよね。でも、ν[NEU]もmitsuソロも良いものはどっちも観て欲しいっていう気持ちになって、“共に”というか“一緒に”っていう意味合いのタイトルを付けたんです。そこは俺の中でも感覚がすごく変わったんです。
――バチバチだったのに、そういう意識も進化していますね。
mitsu 素直にν[NEU]の曲を好きだって言えるようになった自分もいて、もちろんソロの曲も好きだから、好きな事が増えたっていう感じなんですよね。もしかすると、これはЯeIさんがさっき言っていた余裕に近いのかもしれない。
ヒィロ 何をやるかは未定だけど、2マンだから出来る事はやりたいですね。ν[NEU]でmitsuくんソロをカバーしてみるのも面白いし! 前に客席から観たmitsuくんのソロを今度は同じステージの上からベーシストとして見てみたいんですよ。きっと僕だけじゃなくてメンバーの見方も変わると思うし、そういう融合にも期待したいというか。ν[NEU]のボーカルじゃない、mitsuソロとして歌ってる時の楽器隊として感じた事が絶対にプラスになると思うから。
ЯeI そういえば、今まで同期なしで叩いた事ないな。もし、そういう事になれば面白いかもしれない。
ヒィロ ほら!こういうところからバンドスキルも上がると思うんだよね。
mitsu ν[NEU]の曲をソロでカバーっていう事もあったけど、同期なしでν[NEU]の曲をやるっていうのも面白いかもしれない。
――どんどん可能性が広がって行きますね!
mitsu 多分、これからの活動内容的にも飽きる暇はないと思いますね。自分たちが飽きるくらいだったらやらないと思うので。
――まあ、メンバーが飽き足らなくなったら今のν[NEU]ならば新たな目標か課題を自分たちで課すでしょうし。
mitsu そう、そういう0か100かの極端なメンバーなんで(笑)。
ヒィロ 7月1日の「感謝祭」から“ゴール”までの1年半っていうのは、リセットした状態から僕たちがやりたいからやるっていう活動なので、ファンのみんなが思ってるよりもかなり攻めていくと思いますよ。
mitsu だから、復活というよりも個人的には出発っていう感じの方が近いですね。今はすごく刺激的で、守りに入ってないからこそν[NEU]だなと思うし、攻められるならν[NEU]をやりたいと思うし。
ЯeI 本当に、やりたい事やってこうっていう気持ちでいるので、これからが楽しみですよね。
タクミ うん。楽しみが一番強いです。今、シンプルに楽しみなのは「ν[NEU] BEST」ツアーの移動ですね! みんなで機材車で移動しますか!!
――……今一瞬、全員がシーンとした感が否めないんですけども……?(笑)
ヒィロ (笑)。僕らが最後に回ったツアーって、解散ツアーだったんですよね。だから「ν[NEU] BEST」ツアーで言うと地方は大阪と仙台ですけど、結局解散ツアーぶりっていう事になるので感慨深いものがあるなと。復活してから今まで、特に新宿BLAZEの復活ライブの時がそうだったんですけど、「これ、前に演奏したのは解散ライブだったな」って思いながらやってたんですよね。
mitsu 俺、解散ライブの時に「1曲1曲棺に入れてく」って言った。
ヒィロ そう!それに、解散ライブのMCでmitsuくんが「ν[NEU]の曲はみんなに預ける」って言ったのを覚えてるんですよ。それを僕たちがまた受け取りに行くっていうか。みんなが温めてくれたからこそ、その期待には期待に応えたいんですよね。
mitsu ν[NEU]の復活に関しては、ファンの子が突き動かしてくれてる部分はだいぶあると思っているんです。
ヒィロ 確かに、求められてなかったら僕らはやらなかったと思う。
mitsu それに対してカッコ悪い自分たちは、男として見せたくないですよね。それに、活動当時はライブに来れなかったっていう子も意外といる事が分かったんですよ。もちろん自分も好きなバンドの中にはリアルタイムで追えていなかったバンドもいるから気持ちはわかるし、去年の間にも「初めて来た」っていう子とか俺のソロをきっかけに来てくれた子もいて。俺としては今の俺を知ってるファンこそ来て欲しいし、まだ出会えていない人にちゃんとν[NEU]を知ってもらうっていうのは良い事だと思ったんです。もちろん、昔からν[NEU]を知っている人が懐かしさを感じながら楽しんでもらうのも良いし、そういう人だからこそ感じられる新しさもあると思うし。
ヒィロ 今は、ν[NEU]をもっといろんな人に見て欲しいんですよ。今回の「ν[NEU] BEST」ツアーが復活後初めての遠征というのもそうなんですけど、今まで会場に来られなかった人たちへのアピールでもあるんですよね。来られないなら僕たちから会いに行くっていう事も提示していきたい。そういう自信もついたんですよね。今は4人が自発的に「やる」という強い意思が確定したから、そういう気持ちになれたと思うんです。だからこそ対バンもしていくし、そこで観てくれたお客さんを取りに行こうっていう気持ちもあって。一年半で“目標2000人というゴール”まで、たくさんの人をν[NEU]に巻き込んで完結させようと思います。